乳がん検査は何を受けるべき?乳がん検査の種類とその特徴を紹介
「乳がんの検査は種類が多くて、わからない。」 「自身はどの乳がん検査を受ければ良いのだろう?」 このような疑問を持たれている方、いるのではないでしょうか。 乳がん検査で有名なものはマンモグラフィ検査と乳腺エコー検査です。年齢により推奨が異なることは知っているという方はいますが、なぜ年齢によって変わるのかを知っている方は少ないのではないでしょうか。 近年では乳がん検出率が高い無痛MRI乳がん検診も登場し、より乳がん検査の選択が難しくなってきています。 この記事では乳がん検査の種類とその特徴をわかりやすく紹介します。乳がん検査毎の違いを理解することで、自身が受けるべき乳がん検査がわかります。 もうすぐ乳がん検診を受けようと考えている方はよくあるパターン毎におすすめの乳がん検査も解説していますので、乳がん検査の選択に役立ててもらえればと思います。

目次
- 1. 乳がんとは
- 2. 乳がんの発生
- 3. 乳がんの検査を受けるべき理由
- 4. 乳がん検査を紹介 視触診
- 5. 乳がん検査を紹介 マンモグラフィ検査
- 6. 乳がん検査を紹介 乳腺エコー検査
- 7. 乳がん検査を紹介 無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)
- 8. 乳がん検査を紹介 細胞診・組織診
- 9. 乳がん検診ではどの検査を受けるべきか。7つのパターン別で解説
- 10. まとめ
1. 乳がんとは
乳がんは乳腺の組織にできるがんで、日本女性のがん部位別罹患者数1位となっており、日本人の9人に1人が乳がんと診断されています。乳がんになる方は30代後半から急激に増加し、女性のがんによる死亡数でも乳がんは1位です。

2. 乳がんの発生
乳房は乳汁をつくる乳腺とそれを囲む脂肪組織からなり、大胸筋という筋肉で支えられています。乳腺は乳管と小葉(しょうよう)からできており、乳頭から放射状に乳房全体に分布しています。乳がんはこの小葉と乳管の上皮組織から発生し、増殖することで大きくなり、しこりとして見つかります。 乳がんの発生の一因として、女性の生理を司る女性ホルモンであるエストロゲン・プロゲステロンの分泌が挙げられます。40歳以上の方、肥満の方、家族に乳がんにかかった人がいる方などはエストロゲン・プロゲステロンの分泌量が多くなりやすく、乳がんを発症しやすいと言われています。
3. 乳がんの検査を受けるべき理由
乳がんはなるべく早期に発見することで、治療を早く始めることができ、乳房や体への影響の少ない治療法を選択することが可能になります。 乳がんはしこりのように乳房の形や見た目がわかりやすく変化する場合だけではありません。乳がんを早期に発見するためには、乳がん検査の受診が非常に重要です。 乳がん検査には、視触診、マンモグラフィ検査、乳腺エコー検査などがあります。これらの検査の特徴や違いを知ることで、自身に最適な検査を選択できます。
4. 乳がん検査を紹介 視触診
乳房の状態を医師が目視と触知にて確認し、乳がんのような異常を見つけるのが視触診です。具体的には目視にて乳房の皮膚に変化はないか・形状に変化はないか等を、触知にて乳房内にしこりがないか・ワキの下のリンパ節に腫れがないか等を確認します。視触診には乳腺学会などが推奨する明確なガイドラインが存在しないため、医療施設または医師により手順や内容が様々です。
4-1. 他の検査と併用する
主観的な評価である視触診のみで乳がん検査を終了することはありません。視触診のみでの診断は異常の見落としにつながるとされているため、乳腺エコー検査やマンモグラフィ検査を併せて行います。厚生労働省の乳がん検診の指針では「視触診を実施する場合にはマンモグラフィと併用すること」とされています。
4-2. 乳がん検診では視触診を廃止する医療施設が増加している
厚生労働省より展開されている乳がん検診の指針において「視触診は推奨しない」と改正されました。これを受け、乳がん検診では視触診を行わない医療施設が近年増加しています。視触診が推奨されなくなった要因は「乳がんの早期発見に対する有用性が不明である」という研究結果が国立がん研究センターから公表されたことです。 この研究結果では「視触診に関する明確なガイドラインがないために、病院や医師による精度の違いが大きく、視触診検査自体が死亡率減少の手助けになることが証明できない」と総括されています。 2021年度に行われた集計において、自治体の乳がん検診および職域検診では視触診が行われている市区町村は1729の内、409(23.7%)でした。これは2017年度に行った同様の調査の結果61.8%でした。2021年度と2017年度を比較すると、視触診が行われている市区町村の割合は半分以下に減少しています。
4-3. 視触診は自分でもできる
乳がんを早期発見・早期治療するためには乳がん検診を受診することが重要ですが、自身で乳房をセルフチェックすることも有用です。乳房のセルフチェックを普段から行い、乳房の異変に早く気づけるようにしましょう。
セルフチェックの具体的な手順は以下の4つの手順になります。 目視にて皮膚や乳首に異常がないかを確認する 皮膚に表面のくぼみや盛り上がり、発赤がないか、乳首に湿疹やタダレがないかを観察する。 目視にて乳房の形状に違和感を感じないかを確認する 乳房の大きさが左右対称か、片側だけ歪な形になっていないか観察する。この際に、腕を上げた状態や腰に手を当てた状態など体勢を変えて観察する。 乳房やワキを自分で触れてみて、しこりや腫れがないか確認する 触る際には指先や手のひらなど手の色々な部位を使用し、触れるようにする。乳房を拡げるために、背中に枕を入れて仰向けで寝た状態にて触るのが好ましい。 乳房を揉んで圧力を与えた状態で、乳首から液体が出てこないか確認する 特に血のような液体が出た場合は乳がんを疑うので、早めに病院を受診する。
セルフチェックは1日5分〜10分程度で終わるので、寝る前などに行い日々の習慣にしていくとよいでしょう。
乳房のセルフチェックは煩雑すぎると思う方は、近年注目され始めている「ブレスト・アウェアネス」を始めてみましょう。ブレスト・アウェアネスは自らの乳房を意識する生活習慣のことで、セルフチェックのようにチェック項目を設定しません。日頃から乳房の状態に関心を持つようにすることで、異変や変化に気づいたら早く医師に相談しようという意識づけをします。
ブレスト・アウェアネスの4つのポイント
- 自分の乳房の状態を知る
- 乳房の変化に気を付ける
- 変化に気がついたらすぐ医師に相談する
- 40歳になったら、2年に1回乳がん検診を受ける
この4つの項目をポイントに乳房を意識した生活をするように心がけましょう。興味がある方は厚生労働省のパンフレットを下記のリンクで確認してみてください。
引用: https://www.jbcs.gr.jp/uploads/files/citizens/breastawareness_pamph.pdf
5. 乳がん検査を紹介 マンモグラフィ検査
マンモグラフィ検査はX線を用いた画像検査で、乳房を2枚の圧迫版で挟み、乳房全体をなるべく均等な厚みに広げた状態で撮影を行う検査です。乳房は柔らかく厚みがあるため、通常のレントゲン撮影では厚みの違いにより異常が見つけづらくなります。乳腺の中のがんを見つけるには、なるべく乳腺組織を広げてしこりと区別することが重要です。乳房の圧迫には動きによる画像のブレを無くす効果や被ばくを少なくする効果があります。 マンモグラフィ検査では乳房全体を2方向以上で撮影を行います。これは複数の方向で撮影することで死角をなるべく少なくするためです。一般的には正面と斜めを左右で行うので、合計4枚の撮影を行います。

5-1. 微細な石灰化の発見に優れている
マンモグラフィ検査では他の乳がん検査では検知しづらい微細な石灰化を見つけることができます。乳がんは石灰化を伴うことがあるため、石灰化を見つけることで乳がん自体を画像上ではっきりと確認できない場合でも乳がんを見つけられます。
5-2. 検査費用が安価
マンモグラフィ検査は全額実費でも5000円前後で受けられるため、乳腺エコー検査に次いで安価に受けられる検査です。自治体健診や職員健診でも導入されているため、無料で受けられる場合もあります。 マンモグラフィ検査は安価で行える検査のため、全国的に普及しており、多くの医療施設で受けられます。
5-3. レントゲン検査と同様に被ばくがある
マンモグラフィ検査はレントゲン検査と同じくX線を利用した検査です。マンモグラフィ検査は撮影1回あたり0.05〜0.15mSv程度の被ばく線量とされています。この被ばく量は胸部レントゲン撮影と同程度のため、マンモグラフィ検査で受ける被ばくの量は少ないと言えます。その他の放射線を利用した検査では、頭のCT検査が0.5〜1.5mSv、胃のバリウム検査は2.0mSv、PET-CTが8〜10mSvとなっており、マンモグラフィ検査の被ばく量が少ないことがわかります。 一般的な日常生活を過ごしている方が自然から受ける自然放射線の被ばく量が1年間で2.4mSvと言われています。日常生活での被ばくとして有名な飛行機に乗る際の被ばくで換算すると、日本とアメリカ間の往復とマンモグラフィの被ばく量は同等と言われています。このように日常生活で受ける被ばく量と比較しても、マンモグラフィ検査は被ばく量が少ないと言えます。 被ばくに関して気になる方は受診する前はもちろんのこと、撮影直前でも担当者に相談し、安心して検査をできるようにしましょう。最近では医療施設に被ばく相談員という専門の方がいる場合もありますので、気兼ねなく相談してみてください。
5-4. 乳房を圧迫するため、痛みがある
マンモグラフィ検査は2枚の圧迫板で挟むため、痛みを伴います。乳房を挟む力を120ニュートンの圧力をかけることが好ましいとされており、痛みがある場合でも病気の見落としにつながるため、圧力を緩めることは望ましくありません。 自身が痛みに弱い場合にはあらかじめ撮影を担当される放射線技師の方に申告しておきましょう。事前に申告することで、体を支える等の介助をしていただけることがあります。もし撮影中に気分が悪くなった場合には直ぐに伝えるようにしましょう。検査室内で倒れてしまう事例も実際に存在するため、無理はしないようにしてください。 若年者の方でマンモグラフィ検査を受ける場合には生理周期に注意してください。生理前は胸が張っていることがあるので、痛みがより強くなる可能性があります。検査を予約する際には生理周期を確認し、生理前を避けて検査を受けると望ましいでしょう。
5-5. 乳腺濃度の高い方には適さない
マンモグラフィ検査では画像上に乳腺も乳がんも白く映ります。乳腺の量が多い方では乳がんとコントラストがつかなく、乳がんを見つけづらくなる可能性があります。 乳腺の量は人種や年齢、授乳中など様々な要因によって個人差があります。基本的には加齢とともに乳腺は徐々に小さくなり、乳房に対する脂肪の割合が増えていきます。若年者の方がマンモグラフィを受ける場合には乳腺の影響を受けづらい乳腺エコー検査や無痛MRI乳がん検診を併用するとよいでしょう。
6. 乳がん検査を紹介 乳腺エコー検査
乳腺エコー検査は超音波を用いて乳房の内部を観察する検査です。超音波を皮膚から体の奥へ送り、送った超音波が体の組織にあたり反射した超音波を機械で受け取り、この受け取った超音波を画像にします。乳腺エコー検査はしこりや病変の状態(硬さ等)を判断するのに適しています。 乳腺エコー検査では乳房に対してプローブと呼ばれる専用器具を押し当てて行うため、マンモグラフィ検査の様に乳房への大きな圧力を必要とせず、特に痛みがありません。 乳腺エコー検査はベッド上で仰向けの状態で行い、検査中は上半身の衣類を脱いだ状態で行います。超音波を伝わりやすくするための潤滑ゼリーを体に付けるため、中には不快に感じる方もいるかもしれません。

6-1. 微細な石灰化と厚い脂肪が苦手
乳腺エコー検査は微細な石灰化を見つけることは難しく、微細な石灰化の検出はマンモグラフィが優れています。乳腺エコー検査は超音波を利用した検査のため、超音波を通しづらい脂肪が苦手です。乳房の大きい方は注意が必要です。
6-2. しこりの硬さを調べられる
乳腺エコー検査ではしこりの硬さをリアルタイムで視覚的に表示することが可能です。この技術を「エラストグラフィ」と呼びます。エラストグラフィでは硬さを色により表現します。基本的には硬い組織を青色、一般的な組織を緑色、柔らかい組織を赤色で表示します。がん細胞は組織の密度が高いため、硬くなりやすく、青色で表示されます。エラストグラフィを行うことで、しこりの良性・悪性の判断に活用できます。 エラストグラフィは新しい技術のため、すべての医療施設で行われていません。エラストグラフィを受けたい場合には導入している医療施設を受診しましょう。 エラストグラフィを行うことで乳腺エコー検査における乳がん発見精度が向上することが臨床研究で実証され始めています。近い将来、どの医療施設でも行われるようになるでしょう。
6-3. 検査費用が安価
超音波検査のみであれば、全額自費であっても4000円前後で受けることができます。比較されることの多いマンモグラフィ検査は5000円程度の施設が多いため、乳腺エコー検査の方が安価です。40歳以上にはなりますが、自治体検診も行われており、さらに安価もしくは無料で受診できます。 乳がん検診は2年に1回受診することを推奨されています。この場合には費用が安いことは大きなメリットと言えます。
6-4. 妊娠中でも受けられる
超音波検査は妊婦健診にて胎児の状態を観察する際にも利用されています。乳腺エコー検査は超音波を使った検査方法のため、磁場や被ばくのように胎児に悪影響を及ぼす可能性がありません。出産後、授乳中も受けることができます。
6-5. 検査の精度がエコーを行う技術者に左右される
超音波検査全般に言えることですが、撮影者により画像の質が変わりやすい検査です。プローブの操作技術により画像の見えやすさが変わること、撮影者が検査の中で疑わしい部位を見つけて撮影をしていくため、術者の病気を見分ける目が重要になることに起因します。乳腺エコー検査を受ける場合には医療施設のHP等を確認し、年間の実施検査数が多い施設を選ぶと良いでしょう。
7. 乳がん検査を紹介 無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)
乳がんの検査はマンモグラフィと乳腺エコーというイメージが強くありますが、近年注目を浴びているのが無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)です。
無痛MRI乳がん検診は強力な磁石と電磁波を利用したMRI検査の一種で、乳房をさまざまな断面で撮影します。さらにMRI検査の中でもDWIBS(ドゥイブス)という撮影技術を乳房の検査に活用することで、簡便に検出率の高い乳がん検査を実現します。
無痛MRI乳がん検診は病変検出率が他の検査と比べて高く、欧米では乳がんのスクリーニングとしてハイリスク群に対して行われており、今後の乳がん検診の新たなスタンダードとして期待されています。

7-1. 検査中の痛みがない
無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)はマンモグラフィ検査のように圧迫版で乳房を挟む必要がないため、痛みはありません。撮影は寝台に腹ばいで寝た状態で行います。このとき、乳房は寝台にある機械の穴の中に入るようにします。これにより、乳房全体を撮影することができます。 無痛MRI乳がん検診は磁気を利用して撮影する検査のため、X線や超音波を利用した検査と異なり、服が撮影の邪魔にならず検査着のまま撮影が可能です。 磁気を使う影響で体格の大きい方は体が熱くなることがあります。体全体がぽかぽかする程度ですので、心配は特に必要ありません。
7-2. 被ばくがない
無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)は磁気を使った検査のため、放射線は使用せず、被ばくはありません。被ばくがないため、何回受けても体への悪影響がなく、定期的に受ける必要がある乳がん検診に適した検査といえます。 放射線を使用しないため、妊娠中も可能と考える方もいらっしゃいます。磁気は胎児への影響の可能性を否定できないため、妊娠中の方は検査を避けた方がよいでしょう。
7-3. 乳腺濃度の影響を受けづらい
無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)は乳腺濃度の影響を受けないため、高濃度乳腺(デンスブレスト)の方にも適した検査です。無痛MRI乳がん検診では乳房の基本組織である乳腺と脂肪はどちらも白く映り、乳がんは黒く映ります。このため乳腺濃度の高低に関わらず、乳がんと乳房で白黒のコントラストがつきやすく、高濃度乳腺でも乳がんを見つけられます。
7-4. 検出範囲が広く、診断性度が高い
マンモグラフィや乳腺エコー検査などは乳房の奥側にある胸壁や脇の下などは撮影が難しいとされています。無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)では有効感度範囲が広く、胸壁や脇の下など他の検査で映りきらない範囲を死角なく高精度で検査することが可能です。 無痛MRI乳がん検診の診断精度は、従来の乳がん検診と比べて、3〜4倍も高いという報告があります。2023年2月のデータによれば、既に約17,000人がこの検査を受け、その中で1,000人に対し約20人の割合でがんが検出されているという結果が示されています。
8. 乳がん検査を紹介 細胞診・組織診
細胞診・組織診は他の乳がん検査において、乳がんと疑わしい病変が見つかった時や乳がんと判別が難しい場合に行う精密検査です。症状の原因と想定される細胞や組織を直接採取し、それを検体とし診断します。細胞診・組織診ともに、採取した検体は顕微鏡を用いて観察し、病変があるかを判断します。
8-1. 細胞診と組織診の違い
細胞診は乳房内の目的の腫瘍・しこりに採血でも使用する細い針を刺し、吸引した細胞もしくは乳頭から出てきた分泌物を顕微鏡で観察します。麻酔を使用しないため、痛みがあります。 採血の針を使用し、傷口は小さいため、同時に複数箇所の病変を繰り返し検査することができます。その反面、使用する針が細いことで採取できる検体の量が少なく、得られる情報が足りず、判定不能になる場合があります。 組織診は細胞診にて悪性疑い、悪性、良性・悪性か鑑別困難判断のいずれかの結果であった場合に行います。組織診は乳房内の目的の腫瘍・しこりの病変部の一部を取り出し、顕微鏡で観察します。細胞診よりも広い範囲の組織を取り出すため、多くの細胞を周囲の組織と合わせて観察することができ、細胞診より確実な診断に繋がります。 傷口が大きく、患者の痛みが強くなりやすいため、局所麻酔をかけて行います。麻酔を使うことで痛みは少なくなりますが、患者の体への負担は大きくなります。
8-2. 組織診にはコア生検とマンモトーム生検がある
組織診はバネの力を利用して組織を刈り取るコア針生検、マンモグラフィ装置にて病変を確認しながら吸引力を利用して組織を切り取るマンモトーム生検(ステレオガイド下吸引式針生検)があります。 コア生検は一度に採取できる組織が通常一箇所、マンモトーム生検は一度に複数箇所を採取できることが大きな違いです。しこりがあり、触ってわかる病変に対してはコア生検を行い、病変の位置がわかりづらい場合や触るだけでは病変の位置が分からない石灰化のみを指摘された場合にマンモトーム生検を行います。 細胞診と組織診で診断が確定できなかった場合、切開し組織を採取する外科的生検を行います。
9. 乳がん検診ではどの検査を受けるべきか。7つのパターン別で解説
乳がん検査の中で、乳がん検診に該当する検査はマンモグラフィ・乳腺エコー・無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)です(視触診は単独では受けないため、除外しました)。 前述した特徴を基に、どのような場合にどの乳がん検診が適しているかをパターン別に紹介します。 乳がん検診を受診する際に、どの検査にしようか迷っている方はぜひ参考にしてください。

乳がん検診の重要性
乳がんは早期発見・早期治療することで、死亡率を大幅に下げることができます。乳がん進行度による治療成績を見ると、早期に分類される進行度0 期・I期では進行度0期でほぼ100%、I期で90%の治癒が見込まれるという結果が得られています。乳がんを早期治療できれば、乳房の切除を避けた乳房温存療法を選択することも可能です。 厚生労働省が定める乳がん検診の指針において、40歳以上の女性は2年に1回乳がん検診を受診することを推奨しています。乳がんの発見が遅れることで、治療費が高額になる可能性や治癒が難しくなる可能性があります。そういったリスクを避けるためにも、2年に1回の乳がん検診は重要です。
9-1. 痛みが苦手な場合
痛みが苦手な方には乳腺エコー検査もしくは無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)が適しています。乳腺エコー検査は仰向けで寝ている状態で乳房に器具を軽く押し当てるのみ、無痛MRI乳がん検診は寝台の上に腹ばいになるのみで検査を行うことができ、どちらも痛みのない検査です。
9-2. 検査費用を抑えたい場合
検査費用を抑えたい方は乳腺エコー検査かマンモグラフィが適しています。 全額自己負担の場合、乳腺エコー検査は4000円前後、マンモグラフィ検査は5000円前後、無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)は20000円前後です。乳腺エコー検査、マンモグラフィ検査の検査費用が安価と言えます。40歳以降の場合、自治体が行っている検診にてマンモグラフィ検査と乳腺エコー検査を受けることができます。この場合はどちらも更に安価に受けることができ、自治体によっては無料で受けられます。2年に1回検診を受けることが推奨されており、検査費用が安価であることはメリットになります。
9-3. 40歳未満の若年者の場合
若年者の場合、乳腺濃度が高いデンスブレスト(高濃度乳腺)の可能性が高いため、乳腺濃度の影響を受けない乳腺エコー検査か無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)が適しています。 アジア人の女性は欧米人と比較し、乳腺の濃度が高いデンスブレストの方が多い傾向にあります。乳腺組織は加齢とともに減少していくため、デンスブレストは特に若年者に多い傾向が見られます。 授乳中は母乳を産生する影響により、乳腺組織が発達します。授乳中の方は乳腺エコー検査か無痛MRI乳がん検診が適しています。
9-4. 裸を見られることに抵抗がある場合
裸を見られることに抵抗がある場合には検査着のまま行える無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)が適しています。乳腺MRIは検査着の状態で機械に乳房を入れるのみで検査を受けることができ、他の検査のように上半身の衣類を脱いで乳房を見せる必要はありません。撮影担当者と近接する時間は入退室時のみで、撮影中は検査室内には誰も入らないため、非常にプライバシーが保たれた検査と言えます。
9-5. 検出精度を重視される場合
乳がんの検出精度を重視するのであれば、無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)が適しています。無痛MRI乳がん検診のがん発見率は1000人あたり14.7人というデータがあり、一般的な乳がん検査と比較して3〜4倍の程度高い陽性的中率(陽性と判断したものが陽性であった確率)という高い値を示しています。 無痛MRI乳がん検診は乳がん検出精度が高いことから、欧米ではハイリスク郡の方に対する乳がんのスクリーニングに使用されています。乳がんを発症した人の5〜10%は遺伝子によるものと言われており、家族に乳がんを発症した人がいる方はハイリスクとされています。 無痛MRI乳がん検診は日本のみでなく、海外でも乳がん検出率の高い検査として認知されています。
9-6. 心臓ペースメーカーを挿入している方
心臓ペースメーカーを挿入されている方は乳腺エコー検査が適しています。乳腺エコーは心臓ペースメーカーへの悪影響がないため、ほとんどの医療施設で乳腺エコーを推奨しています。 無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)は強い磁気を使う検査のため、機械である心臓ペースメーカーが入っている方には行えない場合があります(MRIに対応したペースメーカーであっても特殊な準備が必要です)。 マンモグラフィ検査は乳房を圧迫する際に心臓ペースメーカーのリードを引っ張る可能性があります。リードが抜けるとペーシング不全(機械不良)になる危険があるため、マンモグラフィ検査には対応していない医療施設がほとんどです。
9-7. 豊胸手術や乳房手術をされている場合
豊胸手術等で乳房にシリコンバッグや食塩水インプラント等を挿入されている場合には、無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)が適しています。無痛MRI乳がん検診は撮影画像に乳房内の挿入物の影響が出づらいため、問題なく撮影できます。 マンモグラフィ撮影は乳房の圧迫時に挿入物が破損する可能性があるため、検査できません。乳腺エコー検査は挿入物を破損する可能性はありませんが、挿入物の後方に超音波が伝わりづらくなることがあり、見落としにつながる可能性があります。 無痛MRI乳がん検診を受ける場合でも、挿入物が多少画像に写ります。豊胸手術等をしていることは必ず事前に申告しておきましょう。
10. まとめ
乳がん検査は今記事で紹介したように多種多様です。それぞれの乳がん検査の特徴、そしてメリット・デメリットを知っておくことで自身にあった検査を選択することができます。どの乳がん検査を受けるか迷った場合には今回のパターン分けを参考にしてみてください。 1つの検診のみでは不安という方、1つの検査に絞れないという方は複数の検診を受診することも可能です。マンモグラフィと無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)といったように、組み合わせて受診することで、より網羅的に検査を受けることができ、乳がんの見落としを防ぐことができます。医療施設によってはセット割を行っている場合もあるので、活用するとよいでしょう。 乳がんは早期発見・早期治療により、治癒の可能性が高まります。厚生労働省が推奨するように、2年に1回の受診を心がけてください。