乳がんの原因とストレスの関連は?発症のメカニズムや予防策について解説

#原因
#乳がん
#関連記事
#予防

有名人の罹患などを通して、近年注目されている乳がん。女性の中には、乳がんの原因について気になっている人もいるのではないでしょうか。普段、何気なく行っている生活習慣が、乳がんのリスクを高めないか知りたいですよね。

本記事では、乳がんの原因や発症リスクを高めるリスク因子について解説します。記事を読むことで、乳がんになりにくい生活や予防対策を理解できるので参考にしてみてください。

1. 乳がんとは

乳がんとは、乳腺や小葉という組織にできるがんです。女性の乳房内は、枝分かれして分布する「乳腺」に房のような「小葉」があります。乳がんの90%は乳管から発生する「乳管がん」で、残りの5〜10%は小葉から発生する「小葉がん」です。乳がんは早期に発見すれば治る可能性が高いですが、病状が進行すると、わきの下のリンパ節に転移したり、がん細胞が血流に乗って、肺や骨脳などの全身に転移し、さまざまな症状を引き起こします。 1-1. 乳がん患者が増加している原因 日本では、食事の欧米化やライフスタイルの変化により、急速に乳がんの患者数が増えています。日本の伝統的な食事からパンや肉類、加工食品の摂取が増えたことで、日本人のタンパク質や脂質の摂取量が増加し、発育も体格も良くなりました。

ライフスタイルの変化については、女性の社会進出が進み、出産年齢が高齢化したり、子どもを望まない人も増えていることが影響しています。国内においては、乳がんは女性のがんの中で最もかかりやすいがんでもあります。2019年の乳がん患者数は9.7万人であり、女性の9人に1人は乳がんになる計算です。(※1)

2. 乳がんの発生とその原因について

現時点で、乳がんが発生する仕組みについては明らかになっていません。一方で、乳がんは次の3つの原因ごとに発生することが分かっています。

2-1. 遺伝子変異によるもの 2-2. エストロゲンによるもの 2-3. タンパク質「HER2」によるもの

以降では、それぞれの原因ごとの乳がんの発生について詳しくみていきます。

2-1. 遺伝子変異によるもの

乳がんと関わりのあるのが「BRCA」というタンパク質を作り出す遺伝子です(BRCA遺伝子といいます)。BRCA遺伝子には、DNAが受けたダメージを修復する作用があります。この遺伝子に異常があると、DNAのダメージが上手く修復されないないために細胞ががん化しやすくなります。また、BRCA遺伝子に異常がある女性は、卵巣がんの発症リスクも高くなります。

2-2. エストロゲンによるもの

乳がんの発生や増殖には、女性ホルモンの「エストロゲン」が深く関わっています。エストロゲンは、乳腺組織を刺激して細胞の増殖を促すためです。細胞が増える過程で遺伝子が傷つくこともあり、遺伝子変異により乳がんが発生することがあります。そのため、乳がんのリスクには、月経や妊娠などエストロゲンに関連した要素が影響します。

2-3. タンパク質「HER2」によるもの

「HER2」は細胞の表面にあるタンパク質で、細胞増殖に関わっています。乳がんの患者さんの中には、HER2タンパク質を作る遺伝子(ERBB2といいます)の数が増えていることがあります。遺伝子はコピーによって作られるため、遺伝子の数が増えたり減ったりすることがあるためです。HER2タンパク質を作る遺伝子が増えると、細胞が過剰に増えるため、乳がんが発生しやすくなります。

3. 乳がんのリスク因子1:遺伝子の異常によるもの

乳がんには直接的な原因だけではなく、発症リスクを高める要因もあります。以降では、乳がんのリスクを高める要因についてみていきましょう。乳がんのリスクを高める要因には、遺伝子変異によるものもあります。遺伝子は体にとって設計図のような役割があり、全ての細胞に存在します。

乳がんと関わりのあるBRCA遺伝子が「BRCA1」と「BRCA2」です。2つのうちいずれか、または両方の遺伝子に異常があると、乳がんにかかりやすくなります。特に、遺伝子の異常があり、子どもにも受け継がれる可能性のある乳がんを「遺伝性乳がん」といいます。遺伝性の乳がんは全体の5〜10%を占め、乳がんの中でも少ないがんです。

ただ、BRCA遺伝子の変異があっても、本人が必ず乳がんになるわけではありません。また、BRCA遺伝子の変異が子どもに受け継がれる確率は2分の1ですが、仮に子どもが遺伝子の変異を受け継いだときも、必ず乳がんを発症することはありません。ただ、いずれかの遺伝子に異常があることで、乳がんの増殖をうまく止めることができずに、発症リスクを高める可能性があります。

3-1. 家族性乳がんについて

乳がんの診療では、家族歴について必ず聞かれます。血縁の家族や親族の中で乳がんになった人が複数いると、「家族性乳がん」といいます。家族性乳がんは、乳がんになりやすい体質を受け継いでいる可能性もあれば、そうでない場合もあります。一緒に住んでいる家族は、食事などの生活習慣が似ていることが多いためです。

血縁の家族に乳がんが多い人は、遺伝性乳がんの可能性があるか検査をしてみるのもよいでしょう。「BRCA1」と「BRCA2」に異常があるかどうかは、遺伝子検査で調べられます。検査の結果、乳がんの発症リスクを高める遺伝子変異があることが判明すれば、定期的にがん検診を受けたり、必要に応じて予防治療を受けることもできます。(※2)

4. 乳がんのリスク因子2:エストロゲンの影響によるもの

乳がんの発生や増殖には、女性ホルモンであるエストロゲンが大きく関わっています。エストロゲンの影響が高まる原因についてみていきましょう。

4-1. 初経年齢が早い

初潮の訪れが早いと、そうでない女性に比べて乳がんになるリスクが高くなります。初潮は初めての月経が訪れることで、思春期になりエストロゲンの分泌が高まることで起こります。

日本人の初経が訪れる平均年齢は12歳前半です。初経年齢が14〜15歳では数%、16歳以上では30%ほど乳がんにかかりにくいという研究データがあります。もちろん、早い年齢で初経が来たとしても、必ず乳がんになるわけではありません。

4-2. 閉経が遅い

閉経年齢が遅い人は、乳がんにかかるリスクが高くなります。閉経は、エストロゲンなどの女性ホルモンの分泌が停止することで起こります。閉経が遅れると、その分エストロゲンの影響を受ける期間も長くなるためです。

日本人女性の閉経年齢の平均は50歳前後ですが、早い人では40歳前半で閉経を迎えます。閉経年齢が49歳以下の人と比べると、閉経年齢が50歳以上の人は、乳がんに2%かかりやすいという研究データがあります。

4-3. 出産回数が少ない

出産回数が少ない女性は、乳がんの発症リスクが高くなることが明らかになっています。女性の乳腺細胞は遺伝子変異が蓄積されるものの、出産することでリセットされる可能性があるためです。

妊娠中は出産後の授乳に備えて、エストロゲンの分泌が高まります。しかし、出産後はエストロゲンの分泌が急速に減少するため、遺伝子変異の蓄積した乳腺細胞が退縮する可能性が指摘されています。実際に、出産回数が1回の人と比べると、2回の人では5%、3回の人では30%も乳がんにかかりにくいという研究データがあります。

また、出産年齢が高くなると、出産年齢が若い人よりも乳がんにかかるリスクが高くなります。(※3)

4-4. 授乳経験がない

授乳したことがない女性は、授乳したことがある女性と比べると、乳がんの発症リスクが高くなります。赤ちゃんに母乳を与えたかどうかは、上記で説明した出産の有無にも関連しますし、バストのサイズがアップすることで、乳腺の濃度が低下することも関係していると考えられます。

特に母乳を与えた期間が長いほど、乳がんになるリスクが低くなります。乳がん患者が途上国よりも先進国に多いのは、出産や授乳期間も影響しているといえるでしょう。(※3)

4-5. 低用量ピルの使用歴

低用量ピルの使用により、乳がんになるリスクをわずかに上げます。低用量ピルには女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が含まれているためです。実際に、乳がんの既往がある女性は、低用量ピルを使用することができません。

ただ、低用量ピルに含まれているエストロゲンの量や種類に配慮すれば、大きな影響を与えることはありません。むしろ、低用量ピルは避妊や月経前困難症を和らげる目的で使われており、女性のQOLを高めるのに役立つものです。何かしらの目的で低用量ピルを使うときは、婦人科医に相談してみるのもよいでしょう。(※3)

4-6. 閉経後のホルモン補充療法

閉経前後に受けるホルモン補充療法は乳がんのリスクを高める可能性があります。閉経前後は女性ホルモンの分泌が少なくなることで、自律神経のバランスが乱れ、さまざまな体の不調が生じます(更年期障害)。

閉経前後には更年期障害による症状を改善するために、ホルモン補充療法が行われることがあります。ホルモン補充療法には、エストロゲンのみ投与する単独療法と、エストロゲンとプロゲステロンの両方を投与する併用療法があります。いずれの療法も乳がんのリスクへの影響があると考えられるため、婦人科医と相談して治療を受けるか決めましょう。(※3)

4-7. 乳腺の病気になった既往

乳腺の病気はがんではなく良性のものですが、乳がんのリスクを高めることがあります。乳腺の病気もまた、女性ホルモンの影響を受けるものもあるためです。また、良性の乳腺の病気でも、乳腺内に石灰化が起こるものがあり、初期の乳がんと見分けが難しいことがあります。

5. 乳がんのリスク因子3:生活習慣によるもの

近年、日本人の乳がん患者が増える原因になっているのが、食生活の欧米化やライフスタイルの変化です。乳がんの発症リスクを高める要因は次のとおりです。

5-1. 過剰な飲酒

お酒の飲み過ぎは、乳がんの発症リスクを高めます。これはお酒に含まれているアルコールにより、体の中の葉酸が不足するためです。葉酸はビタミンの一種で、DNAの合成や修復などに深く関わる栄養素です。

アルコールには葉酸の吸収を邪魔して、尿として体外への排出を促す作用があるため、体内の葉酸が欠乏しやすくなります。お酒の飲み過ぎにより葉酸不足になることで、細胞の修復が進みにくくなります。これにより、遺伝子のダメージが蓄積した細胞ががん化することがあります。(※4)

5-2. 喫煙

タバコを吸う人は、そうでない人よりも乳がんの発生リスクが高まることが明らかになっています。喫煙や受動喫煙と乳がんの発症について調査をした研究では、喫煙者は非喫煙者の1.9倍も乳がんにかかるリスクが上がることが報告されています。

タバコはさまざまながんの原因として知られていますが、受動喫煙にも注意が必要です。受動喫煙は、周囲のタバコを吸っている人の煙(副流煙)を吸うことです。副流煙は自分でタバコを吸うよりも、より多くの有害物質を吸い込みやすくなります。

実際に、受動喫煙の経験がある女性は、そうでない人に比べて、最大で2.6倍も乳がんの発症リスクがあることが報告されています。乳がんのリスクを低減するには、タバコの煙を避けるようにしましょう。

5-3. 閉経後の肥満

閉経後の肥満女性は、乳がんになるリスクが高まります。閉経を迎えると、卵巣ではなく肥満細胞からエストロゲンが作られるようになるためです。特に、閉経後にBMIが25以上の女性では、血液中のエストロゲンの量の増加により、乳がんの発症リスクが高まります。

ここで、閉経前の肥満に対する乳がんのリスクについて気になる人もいるでしょう。以前から、肥満は乳がんのリスク因子であるといわれていましたが、東京大学の研究発表では、45歳未満の肥満女性の乳がんの発症リスクが低いと報告されています。ただ肥満は生活習慣病の元になるため、閉経前の女性でも太り過ぎないように注意することが大切です。

5-4. 運動不足

閉経後の女性は運動不足により、乳がんにかかるリスクが高まります。閉経を迎えた女性は、運動不足により肥満になりやすいためです。エストロゲンには食欲を抑制する作用がある可能性があり、閉経後に内臓肥満が増加しやすくなります。

閉経前の女性については運動不足により、乳がんの発症リスクが高まるかについては、根拠となる証拠が十分に集まっていません。一方で、デスクワークなど座っている時間が長い女性は、そうでない女性よりも乳がんになるリスクが高いことが報告されています。(※5)運動不足により体を十分に動かさないことは、乳がんのかかりやすさに影響を与える可能性が考えられます。

記事内で挙げた項目は、あくまでリスク因子です。項目に当てはまるからといって必ず乳がんになるわけではありません。乳がんのリスク因子の中でも、生活習慣に関わるものは自分で対策することができます。自分に当てはまるリスク因子があるときは、生活を見直して乳がんの予防に役立てていきましょう。

6. 乳がんの原因とストレスの関係について

精神的なストレスが乳がんの直接の原因になることは、明らかになっていません。乳がんについて不安を感じている人の中には、「ストレスが原因でなるのでは…」と考えている人もいるでしょう。

「細胞がストレスを受けると、がん化しやすくなる」とはよくいわれますが、この場合の”ストレス”は一般的な意味合いと異なります。細胞のストレスとは紫外線や酸化などを指すため、不安や悩みによる精神的ストレスのことをいっているわけではありません。

ただ、精神的なストレスの多い人は、リラックスしている人よりも、乳がんの増殖や転移が起こりやすいという研究報告もあります。これは、ストレスにより自律神経の1つである交感神経が、がんの組織に入り込むことが関係しているためです(交感神経は体の活動時に優位になる自律神経です)。

また、慢性的なストレスが続くと、免疫力が低下しやすくなり、がんのリスクを高めることはよくいわれています。実は、体内で細胞分裂のエラーにより、毎日がん細胞が作られています。ただ体には細胞の不良品であるがん細胞を取り除く機能を備えています。具体的には、がん細胞の成長を邪魔する「がん抑制遺伝子」やがん細胞を捕食する免疫細胞の活躍によるものです。

精神的なストレスにより、免疫力が弱まると、がん細胞を取り除くことができません。その結果、がん細胞が異常増殖により、一般的に知られる「がん」という状態になります。特に、乳がんを発症しやすい40代の女性は、仕事や子育て、親の介護などさまざまなストレスにさらされやすい環境にあります。心身の健康のためにもストレス対策をするとよいでしょう。

7. ブラジャーが原因で乳がんになることはある?

ブラジャーの使用により乳がんのリスクが高まることはありません。女性の中には、毎日着用するブラジャーにより、乳がんのリスクが高まるか気になっている人もいるでしょう。確かにブラジャーを着用している間は、ある程度の締め付けがあるため、乳房の血流などに影響を与えるイメージがあります。

もともとブラジャーが乳がんの原因といわれることがあるのは、先進国と開発国における乳がん患者数の違いがきっかけです。開発国の中には、ブラジャーをつけずに過ごす人も多いことから、ブラジャーの着用が乳がんの発症に関連しているのではと考える人もみられました。

米国のフレッドハッチンソンがん研究所による乳がんの女性と乳がんのない女性の比較研究によると、乳がんの発症とブラジャーの着用には関連がないことが明らかになりました。

なお、乳がんの治療を受けた人は、ワイヤー入りでないブラジャーを使うのがおすすめです。手術後や放射線治療中は、胸周りの皮膚に痛みが生じたり、傷つきやすくなったりするためです。特に、手術でリンパ節郭清をしている場合は、強い締め付けによりむくみがみられることもあるので、ソフトブラジャーを使うのがおすすめです。(※6)

8. 男性が乳がんになる原因

乳がんは女性特有の病気のイメージがありますが、男性も乳がんにかかるリスクがあります(男性乳がん)。男性乳がんの患者数は、乳がん患者全体の約1%であり、希少がんといえます。男性乳がんのリスク要因も女性の乳がんのものとほぼ同じように、遺伝子変異や家族歴が関わっています。

その他の男性乳がんのリスク要因は以下のとおりです。 胸部の放射線治療歴 エストロゲンの量が多い

以降では、その他の男性乳がんのリスク要因について詳しくみていきます。

8-1. 胸部の放射線治療歴

過去に胸部に放射線治療を受けていると、男性乳がんの発症リスクをわずかに高めます。放射線治療は、放射線の照射によりがん細胞のDNAを破壊または損傷し、死滅させる治療法です。治療期間中は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも放射線が照射されるため、乳房の細胞の遺伝子が傷つくリスクもあるからです。

ただ、放射線治療による新たながんが発生する確率は、5〜20年で1%といわれています。 放射線は、正常な細胞よりもがん細胞により大きな効果を発揮するためです。がん細胞は増殖力が高い一方で、回復力が遅いという特徴があります。また、放射線による治療期間中は、線量を小分けにして、正常な細胞を回復させながら治療を進めていきます。

このことから、胸部の放射線治療を受けると、必ず男性乳がんを発症するわけではありません。医師から放射線治療を勧められるのは、メリットがあるからこそです。わずかなリスクを気にして、放射線治療を拒否することのないように気を付けましょう。

8-2. エストロゲンの量が多い

何らかの原因で男性の体に女性ホルモンが多いと、乳がんになるリスクを高めます。エストロゲンは女性ホルモンですが、男性の体内にも存在します。男性のエストロゲン量が多い原因は以下です。

エストラジオールの量が多い(加齢、女性化乳房、テストテロン製剤) クラインフェルター症候群 肝機能異常 肥満 精巣の異常

エストラジオールはエストロゲンの一種で、女性らしい体つきを作ったり、女性生殖器の発育を促す働きがあります。男性では、酵素の作用により、男性ホルモンからエストラジオールが作られます。

特に男性が高齢になると、エストラジオールの生成に関わる酵素の働きが活発になるため、体の中でエストラジオールが作られやすくなり、乳がんの発症リスクを高める原因になります。そのため、エストラジオールの分泌が増える60歳〜70歳の人や、エストラジオールの影響がある女性化乳房がある男性は乳がんの発症リスクが高いといえます。

また、近年では筋肉量を増やすためにテストテロン製剤を利用する男性もいます。エストラジオールは男性ホルモンから作られるため、テストテロン製剤の使用により、エストラジオールの量が増える原因になります。

クラインフェルター症候群もまた、男性乳がんのリスクになります。通常、男性の染色体の組み合わせは「XY」です(X染色体は母親由来、Y染色体は父親由来)。クラインフェルター症候群の人の染色体は「XXY」です。過剰なX染色体があることから、女性ホルモンの影響を受けやすく、乳がんの発症リスクがあることが明らかになっています。

上記の他にも、黒人男性は他の人種の男性よりも乳がんにかかりやすいことが明らかになっています。

9. 乳がんは早期発見・早期治療が大切

乳がんは早い段階で発見して治療を受ければ、高い確率で完治を目指すことができる病気です。乳がんのリスクがある人は定期的に検査を受けるようにしましょう。乳がんの定期検診が必要な人は以下のとおりです。

・年齢が40~50歳代の女性 ・乳がんの家族歴がある人 ・乳がんに関わる遺伝子変異を持つ人

日本では乳がんの早期発見のために、乳がん検診が行われています。乳がん検診を受ける頻度は、40歳以上の女性であれば2年に1回、遺伝子変異があるなど乳がんの発症リスクが高い人は6ヵ月に1回(25歳以上)が推奨されています。

乳がん検診の内容は次のとおりです。(※7)

乳がん 原因記事用

乳がん検診をはじめ、がん検診は症状のない健康な人ががんの早期発見をするために受ける検査です。乳房にしこりがある・乳頭から出血がある等、すでに乳房に何らかの症状がみられているときは、早めに医療機関を受診しましょう。

9-1. 乳がんの早期発見には無痛MRI

乳がんの早期発見を目指した検査には、無痛MRI(ドゥイブス・サーチ)もあります。MRI検査は、電磁波を発生する大きな筒状の検査機の中に入り、体の内部を調べる検査です。検査時は磁力の影響により大きな音が生じますが、痛みを感じることはありません。

乳がん検診で行われるマンモグラフィは、乳房を圧迫させる必要があるため痛みや不快感をともなうことがしばしばです。人によっては、マンモグラフィによる痛みが原因で、乳がん検診を敬遠する人もいるでしょう。MRI検査による乳がん検診は、マンモグラフィが苦手な人にも適しています。

また、MRI検査は、マンモグラフィのように被ばくすることがありません。マンモグラフィによる被ばくもまたがんのリスクになるものです。MRI検査は放射線の被ばくリスクがないため、定期的に乳がん検診を受ける人にも適しています。

マンモグラフィが苦手な人の中には、超音波検査のみを希望する人もいるでしょう。マンモグラフィと超音波検査には一長一短があります。

マンモグラフィは石灰化を見つけやすい(しこりを見つけにくい) 超音波検査はしこりを見つけやすい(石灰化を見つけにくい)

特に、日本人の女性はバストサイズが控えめの方が多く、マンモグラフィで小さながんを見つけにくい特徴があります。これは、マンモグラフィで得られる画像では、乳腺組織やがん組織が白く映るためです(脂肪組織は黒色で映るため、バストが大きい人の方ががんを見つけやすい)。

MRI検査の画像は断面図になります。がん病巣の有無や広がり、周りの臓器への転移がないかどうかを確認することができるので、さまざまながんの治療効果や転移の有無を調べるために行われています。乳がんの早期発見をしたい人は、MRI検査による乳がん検診「ドゥイブスサーチ」を検討してみるのもよいでしょう。

無痛MRIによる乳がん検診「ドゥイブスサーチ」についてはこちらをご覧ください。

10. まとめ

現代医療では、乳がんが発生する原因は分かっていませんが、特定の遺伝子の変異や生活習慣などのリスク要因であることが分かっています。乳がんは女性の命を奪うリスクが大きいがんです。記事内で紹介した内容を参考に、自分ができるところからでよいので、ライフスタイルや生活習慣を見直して、乳がんのリスク低減につなげていきましょう。

参考文献:

※1:がん種別統計情報/乳がん ※2:独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター/遺伝性乳がん卵巣がん ※3:日本乳癌学会/患者さんのための乳がんガイドライン2023年版 ※4:宮崎県コホート/飲酒と乳がん罹患リスク ※5:京都府公立大学法人 京都府立医科大学/座りすぎに注意!1 日 7 時間以上座っていると乳がん罹患リスクが上昇 ※6:国立がん研究センター中央病院/乳房切除後の下着の選び方 ※7:がん情報サービス/乳がん検診について

©︎乳がんラボ