がん研有明病院とGoogle AI を活用した乳がん検診共同研究において、乳がん検診の精度と健診プロセスの効率の向上を確認 | 公益財団法人がん研究会のプレスリリース (prtimes.jp)
記事本文の要約
がん研有明病院とGoogleは、AIを活用した乳がん検診の共同研究を行い、乳がん検診の精度向上と検診プロセスの効率化を達成しました。この研究では、マンモグラフィ画像をAIモデルで分析し、従来の二重読影と比較した結果、乳がん検出の精度が7.6%向上し、読影の一貫性も改善されました。また、AI導入により医師の負担が大幅に軽減され、より効率的な検診が可能となることが示されました。
・引用:PRTIMES
・ニュースURL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000031443.html
編集者の考察
乳がんは、わが国の女性で最も罹る数の多いがんで、毎年約9.7万人が診断されています。死亡数においても、他の先進国では1990年以降減少していますが、日本においては増加しているのが現状です。早期発見が目的である集団検診マンモグラフィは、根治治療が可能な段階で乳がんを発見できる有効な検査です。しかし、現在この検査にはさまざまな課題があります。まずは、受診率の低迷さが挙げられるでしょう。日本での乳がん集団検診の受診率は47%であり、欧米の75%以上と比べかなり低くなっています。また医療機関側の課題としては、日本では検診マンモグラフィを別の読影医による二重のチェックが推奨され、検診数が増えた場合、現在の読影医の数では対応できなくなる可能性が指摘されています。
今回の共同研究は、AIモデルを用いたスクリーニングシステムにおいて、乳がん検出精度を向上させることで、早期発見の可能性と治療の選択肢を増やせることがわかりました。さらに、AIモデルが、異なる医師間の読影の一貫性を向上させることから、診断の質を個人間でより統一できるようになります。 AIを使う検診プロセスでは、AI モデルを「セカンドリーダー」として活用し、医師が追加で確認するマンモグラフィの数を大幅に削減できるそうです。この結果から、医療システムの負担軽減のほかに、患者さんへの対応を含む、医師や看護師など医療スタッフの働き方へもより効率的・効果的な影響を及ぼすといえます。
AIの発展と普及は、目を見張るほどの速さで進んでおり、さまざまな分野で働く人の働き方の効率を改善すると期待されます。日本の医療従事者の「働き方改革」のためにも、人とAI両方の観点で、働く環境の向上に貢献できるのが望ましいです。
この研究では、今後のマンモグラフィへのAI活用が、検査の精度向上や人的負担の軽減などに有効性が示されました。今後のさらなる診断技術の発展は、乳がんの早期発見・治療に大きな貢献をもたらすといえるでしょう。