マンモグラフィは泣くほど痛い?痛みの対策や痛くない乳がん検診についても解説

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乳房の検査といえば、マンモグラフィ検査を思い浮かべる方が多いはず。 それと同時に「マンモグラフィ検査=痛い」というイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。

痛みには個人差がありますが、痛みによって検査自体を敬遠されているという方がいるほど、マンモグラフィは強い痛みを伴う検査です。

マンモグラフィ検査は痛みがあることを除けば非常に優秀な検査であり、日本のみならず、海外でも盛んに行われている乳がん予防効果の高い検査です。

マンモグラフィが痛すぎて、乳がん検診を行っていないという方を減らすため、今回はマンモグラフィ検査の痛みのメカニズムから和らげるためのポイント、そして痛みが苦手な人におすすめしたい乳がん検診などを網羅的に紹介します。

定期的な乳がん検診の受診に役立てていただけると幸いです。

1.マンモグラフィとは

女性であれば誰でも聞いたことがある検査であるマンモグラフィ検査はX線を用いた画像検査で、乳房に特化した撮影です。 しこりや微細な石灰化といった、乳がんを見つけるための小さな病変を映し出すことに優れています。 マンモグラフィ検査では乳房を2枚の圧迫版で挟み、乳房全体をなるべく均等な厚みに広げた状態で撮影を行います。この撮影を必ず2方向以上で行います。これは複数の方向で撮影することで死角をなるべく少なくするためです。一般的には正面と斜めを左右で行うので、合計4枚の撮影を行います。検査中は上半身の衣服を脱いだ状態で行います。撮影時間は10分ほどで終了します。 40歳以降の女性に対し、マンモグラフィ検査を定期受診することで、乳がんの死亡率を下げる効果がわかっており、自治体における乳がん検診に利用されています。 全国での乳がん検診の受診者割合は検診対象となる40〜69歳の女性の44.7%であり、この年齢における女性の2人に1人は受診していることになります。

【引用】 がん情報サービス https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/screening/screening.html

2.マンモグラフィ検査が泣くほど痛いのはなぜ

マンモグラフィ検査が泣くほど痛いとされるのは、「乳房を強い圧力で挟み込む」ためです。 通常のレントゲン撮影では乳房は柔らかく厚みがあるため、厚みの違いにより異常が見つけづらくなります。

これはレントゲン撮影において正常な乳腺は画像上白く写り、それと同様に乳がんも白く写ることに起因します。(正確には乳がんの方がより白いことが多い)。

もし、痛みを減らすために圧力を弱め、乳房を平らにしない状態で撮影すると、乳房の厚い部分では乳腺が重なりすぎ、乳がんが隠れてしまう恐れがあります。 なるべく乳房を薄く伸ばして広げ、正常な乳腺と乳がんの重なりを少なくすることがマンモグラフィ検査において重要となるのです。

また圧迫を弱め、乳房の厚みが増すことで、撮影に多くのX線が必要になり、結果として被ばく量が増えてしまうことにも繋がります。 その他にも乳房の圧迫には動きによる画像のブレを無くす効果もあります。 それにより、再撮影を防ぐことができ、痛みによる苦痛と被ばくを減らすことができます。

撮影は一般的には乳房の厚さが4~5cmになるよう、片方につき1回あたり10秒程度圧迫します。この時に乳房に加える圧力は120N(ニュートン)以上が好ましいとされています。 マンモグラフィ検査はただ乳房を圧迫すればよいというわけではありません。

乳がんは乳房の外側の上部(脇の下)あたりに発生することが最も多いため、乳房だけでなく脇の下の乳腺組織も圧迫板の間に引っ張り出し、圧迫して撮影する必要があります。

その他にも、マンモグラフィ検査にはブラインドエリアといって画像に描出されにくい部位が存在します。 このブラインドエリアをなるべく画像の範囲に入れるために、検査を担当する撮影者は意識をしながら乳房を引き出し、撮影を行います。

しっかりと引き出したところに強い圧力で乳房を挟み込むため、人によっては強い痛みを感じてしまうケースがあるのです。

3.マンモグラフィのメリット!泣くほど痛くても推奨される理由

3-1.微細な石灰化の発見に優れている

マンモグラフィ検査では他の乳がん検査では検知しづらい微細な石灰化を見つけることができます。

乳がんは初期段階では画像上で乳がん自体をはっきりと確認できない場合があります。 この場合には石灰化が乳がんの発見の鍵となります。

乳がんができた乳腺の近くには石灰化が一緒に発生することが多いため、石灰化を見つけることで、乳がんを見つけることができます。

石灰化はカルシウムが主成分であるため、骨を観察することに優れているレントゲン撮影で見つけやすく、レントゲンの一種であるマンモグラフィ検査は石灰化の描出が得意と言えます。

3-2.検査費用が安価

マンモグラフィ検査は全額実費でも5000円前後で受けられるため、安価です。

自治体健診でも導入されているため、40歳以降の女性であれば無料で受けられますし、職員検診でも採用されていることが多いため、働く女性の方でも気軽に受診することが可能です。

マンモグラフィ検査は乳房の検査として全国的に普及しており、多くの医療施設で受けられるため、住んでいる地域にかかわらず、受診できることもメリットといえます。

3-3.乳がんの予防効果が証明されている

乳がんの1次検査においてはその有効性が科学的に立証されており、特に乳がんのリスクが最も高い40歳以上の女性に対しては、対策型がん検診(ある集団全体の死亡率を下げるための検診)としてマンモグラフィ検査を受けるメリットが被ばく等のリスクを上回っていると言われています。

近年では乳腺エコー検査との併用による乳がん予防効果についても検証が進められており、併用するメリットが確立されつつあります。

【引用】 日本対がん協会 乳がんについて  https://www.jcancer.jp/about_cancer_and_checkup/

4.マンモグラフィの痛み以外のデメリット

4-1.乳腺濃度の高い方は画像が見づらい

乳房は乳腺組織と脂肪組織で構成されており、この比率において、乳腺組織の比率が高い乳房のことを「高濃度乳腺」と言います。

マンモグラフィ検査では画像上に乳腺も乳がんも白く映ります。 そのため、乳腺の量が多い方では乳がんとコントラストがつきづらく、相対的に乳がんを見つけづらくなる可能性があります。 乳腺の量は人種や年齢、授乳中など様々な要因によって個人差があります。

基本的には加齢とともに乳腺は徐々に小さくなり、乳房に対する脂肪の割合が増えていきます。 若年者の方がマンモグラフィを受ける場合には乳腺の影響を受けづらい乳腺エコー検査や無痛MRI乳がん検診を利用するもしくは併用するとよいでしょう。

近年では「トモシンセシス」という細かい断層で撮影する技術が導入されたマンモグラフィ装置が増加傾向であり、乳房の重なりが少ない画像を撮影できるようになりつつあるため、高濃度乳腺でもマンモグラフィ検査で乳がんを見つけやすくなってきています。

4-2.レントゲン検査と同様に被ばくがある

マンモグラフィ検査はレントゲン検査と同じくX線を利用した検査であり、撮影1回あたり0.05〜0.15mSv程度の被ばく線量とされています。

この被ばく量は胸部レントゲン撮影と同程度のため、マンモグラフィ検査で受ける被ばくの量は少ないと言えます。 その他の放射線を利用した検査では、頭のCT検査が0.5〜1.5mSv、胃のバリウム検査は2.0mSv、PET-CTが8〜10mSvとなっており、マンモグラフィ検査の被ばく量が少ないことがわかります。

一般的な日常生活を過ごしている方が自然から受ける自然放射線の被ばく量が1年間で2.4mSvと言われています。

日常生活での被ばくとして有名な飛行機に乗る際の被ばくで換算すると、日本とアメリカ間の往復とマンモグラフィの被ばく量は同等と言われています。 このように日常生活で受ける被ばく量と比較しても、マンモグラフィ検査は被ばく量が少ないと言えます。

2年に1度の定期受診を推奨している乳がん検診においても、問題のない被ばく量です。

5.マンモグラフィで痛みが出やすくなる人の特徴とは

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5-1.高濃度乳腺

若い女性に多い高濃度乳腺は撮影画像が見づらくなるのみではありません。 乳房内における乳腺の割合が多い女性は乳房が張った状態です。そのため、乳房を圧迫した際に痛みが出やすい傾向にあります。

乳腺は加齢ともに減少していき、脂肪に置き換わります。

脂肪に置き換わると、張りは失われ、柔らかい乳房へと変化していきます。40歳を境目に脂肪分の多い脂肪性乳房に変化するため、痛みに弱い方は年齢が若い間はマンモグラフィ検査は避けるとよいでしょう。

5-2.生理前

若年者の方でマンモグラフィ検査を受ける場合には生理周期に注意してください。 生理前から生理中の期間は女性ホルモンである「プロゲステロン」の分泌が活発になります。 このプロゲステロンにより、乳腺が発達して乳房が張るため、普段以上に痛みが強くなる可能性があります。

検査を予約する際には生理周期を確認し、生理前を避けて検査を受けると望ましいでしょう。 生理の終わりかけ以降に予約をとると安心です。

5-3.授乳中

授乳中でもマンモグラフィ検査を受けることは可能です。 ただ、授乳中は母乳を作るために女性ホルモンの分泌が活発になります。これにより、乳腺が発達した状態のため、乳房が張った状態となり、痛みが出やすい可能性があります。

撮影画像自体も全体的に白くなり、乳がんを見つけづらい画像になってしまいます。 可能であれば、痛みもなく、乳腺濃度の影響を受けづらい乳腺エコー検査や無痛MRI乳がん検診を受診しましょう。

検診の場合、授乳中だとマンモグラフィ検査に対応していない医療施設も存在します。不安な方は事前に受診予定の医療施設に確認をしておきましょう。

もし、授乳中にマンモグラフィ検査を受ける場合には必ず撮影者に申し出ましょう。 授乳中だと圧迫時に母乳が出で来てしまう恐れがあります。申し出ることでガーゼなどを準備し安心して検査が受けられるよう配慮してもらえる場合があります。

6.マンモグラフィの痛みを和らげるポイント​​を紹介

6-1.リラックスを心がける

初めて乳がん検診を受ける場合、緊張や恥ずかしさから体に力が入ってしまう方も少なくありません。 体がこわばる(特に肩に力が入る)と乳房とつながる大胸筋が緊張し、ますます痛みを感じやすくなります。

深呼吸をゆっくりと行い、体の力を抜いた状態で検査に臨みましょう。 力が入りすぎることで、乳房が引き出しにくくなります。

正確な検査を実施するためにも、できる限りリラックスした状態で行いましょう。

6-2.まっすぐ立つ

マンモグラフィ検査で最も重要なことは、乳房全体を機械で挟み、撮影する範囲に入れることです。 機械に対して身体が斜めであったり、離れた位置であると、撮影者はより強く乳房を引っ張らざる終えません。

撮影者の指示に従い、機械に対し、まっすぐの位置に立つように心がけましょう。 よりスムーズに検査が進めば、結果として痛みを伴う撮影時間も短く済みます。

7.マンモグラフィの痛みと乳がんは関連しない

「マンモグラフィ検査で痛い=乳がんである」とはなりません。 乳がんは実は早期の段階では痛みを伴わない場合が多いと言われています。初期症状の代表的なものはしこりや張りによる乳房の左右差、皮膚の爛れや乳頭からの分泌物などです。

マンモグラフィ検査で強い痛みを感じたことで、不安になる必要はありません。 ただ乳がんの中にも、早期の段階から痛みを伴うものもあります。

炎症性乳がんという、乳房自体が炎症する乳がんです。がん細胞が乳房の皮膚内のリンパ管を塞ぐことにより、炎症性乳がんとなります。非常に稀ながんで、全体の1~5%程度と言われています。

その名の通り乳房が炎症した状態になりますので、全体的に赤く腫れた状態になり、痛みを伴います。特徴的な所見として、オレンジの皮の様に、盛り上がりやくぼみが認められる橙皮状皮膚が挙げられます。

炎症性乳がんはしこりを発見しづらいこと、進行が早いことにより、非常に危険な乳がんと言われています。乳房に炎症や橙皮状皮膚のような症状がある場合には、早めに受診しましょう。

診断には乳房のみの情報ではなく、リンパ節の状態が重要になります。 リンパ節付近はマンモグラフィや乳腺エコー検査でも見づらい部分になりますので、無痛MRI乳がん検診などの死角の少ない検査を行うことが求められます。

8.マンモグラフィが痛い時に疑われる病気

8-1.乳腺症

乳腺症とは乳房にしこり・張り・痛みなどの症状が出るもので、乳房に起こる疾患としては最も多いとされています。

この他にも乳頭から分泌物が出る場合があり、両方の乳頭からの分泌であること、分泌物の色は乳黄白色であることが特徴です。マンモグラフィ検査で圧迫した際の痛みで症状に気づく方もいます。

エストロゲン過剰状態が原因で発症するため、成熟期女性が最も多く、エストロゲンの蓄積がピークを迎える閉経期に向かって増加し、エストロゲンの分泌が低下し始める閉経後に減少していきます。 よって、乳腺症は40〜45歳にピークを迎えると言われています。

乳腺症は女性ホルモンの影響を受けやすいため、生理前に症状が強くなり、生理開始すると症状が弱まることが多いです。痛みの出る場所や強さは、人によってさまざまなことも乳腺症の特徴です。

似たような症状の疾患である、炎症性乳がんとの違いは「皮膚の変化」です。 前述した通り、オレンジの皮の様に、盛り上がりやくぼみが認められる「橙皮状皮膚」の所見があれば、炎症性乳がんの可能性が高いでしょう。

8-2.乳腺嚢胞

嚢胞とは水分を溜め込んだ袋状のもので、これが乳腺にできたものを乳腺嚢胞と呼びます。 乳汁などの分泌物が何らかの影響で乳頭から体の外に出ず、乳管の中に溜まってしまうと発生します。

乳腺嚢胞の原因は女性ホルモンのバランスが崩れることと言われています。 乳腺症とはことなり、自覚症状はほとんどありませんが、嚢胞のサイズが大きくなると、乳房の張りに繋がります。

乳房が張っていることで、マンモグラフィのように日常生活にはない強さの圧力を乳房に与えると、痛みにつながることがあります。 乳がんに移行することは、ほとんどない良性の腫瘍になりますが、心配な方は受診をしましょう。

9.マンモグラフィ検査の翌日も痛みが続くのは大丈夫?

マンモグラフィ検査を受診した方には翌日や検査後数日間、痛みが続く方がいますが、心配は入りません。 マンモグラフィ検査では地肌に直接圧迫する機械を押し当てるため、どうしても圧迫した部分が赤くなったり、擦れることで皮膚がめくれることがあります。

またごく稀に、圧迫により毛細血管が損傷することで、皮下出血を起こす可能性もあります。ただしこれは一時的なことで、それが原因で何かの病気に発展するものではありません。

痛みの感じ方には個人差があり、当日の検査終了時に治る方もいれば、数日間続く方もいます。またその時のご自身の体調やホルモンバランスなどによって、前回の検査と痛みの度合いが異なる場合があります。

通常痛みは徐々に治ってきますが、痛みが長く続く場合や、痛い部分がすごく熱くなる、湿疹や赤みが出てきたなどの症状がある場合には、一度受診された施設へご相談してください。

10.マンモグラフィの痛みに関するよくある疑問を紹介

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10-1.マンモグラフィの痛みに胸の大きさは関係ある?

胸の大きさにより、検査に影響が出ることは少ないとされています。 男性でもマンモグラフィ検査を実施することがあり、問題なく検査を行えます。このことからもわかるよう、どの程度の胸の大きさでも検査は可能です。

胸の大きさと痛みの因果関係もないとされています。乳房の大きい女性で痛みを感じる方もいれば、男性でも痛みを感じない方もいます。

ただ乳房が小さい方は大きい人と比較すると、乳房をより引き出す必要があります。 引き出す際は皮膚が引っ張られる感覚になるため、痛みがでやすい可能性はあります。

10-2.乳房の手術後はマンモグラフィが痛い?

乳がんの手術後の痛みにはPMPS(乳房切除後疼痛症候群)と言われるものがあります。 明確な原因はわかっていませんが、手術の際に乳房周辺の神経を傷つけることによるものではないかと言われています。

なぜなら、手術中に傷つけた神経に炎症が長く続くと、異常な血管が生成され、これに付随し、神経が一緒に生成されます。神経が増えることで、刺激に過敏になり、痛みの原因となる可能性があるためです。

ただ、放射線治療や化学療法を行って、PMPSになる方もいるため、原因ははっきりしていません。PMPSは刺激に対し、敏感になるため、マンモグラフィ検査の痛みが強くなる可能性があります。

豊胸手術後はシリコンバッグ等の挿入物の破損の危険があるため、マンモグラフィ検査を行っていない医療機関が多い傾向にあります。

ペースメーカを挿入している場合には、心臓に電気を与え、心臓の動きを助けているリードが外れてしまう原因になるため、原則マンモグラフィ検査は行えません。

これらの場合には、マンモグラフィ検査以外の乳がん検診を行いましょう。

10-3.痛みに弱い場合には乳がん検診は乳腺エコー検査でよい?

乳腺エコー検査は超音波を使った検査で、プローブという超音波を送受信する機械を身体に押し当てて行うため痛みがない検査です。

乳腺エコー検査は微細な石灰化を見つけることは難しく、微細な石灰化の検出はマンモグラフィが優れています。 また乳腺エコー検査は超音波を利用した検査のため、超音波を通しづらい脂肪が苦手です。

痛みはないですが、乳がんの検出においては、マンモグラフィ検査の方が優れていると言えます。 特に40歳以降は乳腺の影響が減少していくため、マンモグラフィ検査が適しているといえます。

乳腺エコー検査は乳腺濃度の影響を受けないというメリットがあるため、20代、30代の若年者では乳腺エコー検査を乳がん検診として行います。

ただ、乳腺エコー検査とマンモグラフィ検査の併用を推奨している医療施設も多く、乳腺エコー検査はマンモグラフィの補助的な役割となっています。

ただ、乳腺エコー検査で乳がんを検出できないわけではありません。 痛みが苦手という理由でマンモグラフィ検査を受けないという選択をするより、痛みのない乳腺エコー検査を受ける方が良いでしょう。

痛みのない乳がん検診として乳腺エコー検査以外にも、最近では無痛MRI乳がん検診が注目を浴びています。 乳がん検診の候補として、ご検討ください。

11.マンモグラフィ検査で痛みは我慢しすぎない!失神には気をつけよう

稀にマンモグラフィ検査に対する恐怖心や過度な緊張により、血圧低下や迷走神経反射を引き起こす場合があります。実際にマンモグラフィの検査室内で倒れてしまう事例も存在します。

無理をして検査を行い、倒れた場合には、頭をぶつける可能性や検査室内のものを破損する恐れもあります。頭をぶつけることで、頭の中で出血するリスクもあります。 検査により怪我や病気になってしまうのは本末転倒なので、我慢をしすぎず異変を感じた場合にはすぐに伝えましょう。

過去に一度そのような経験をされた方や自身が痛みに弱いと判断される場合はあらかじめ撮影を担当する撮影者に申告しておきましょう。 事前に申告することで、体を支える等の介助をしてもらえることがあります。

もし撮影中に気分が悪くなった場合にも事前に伝えておくことで迅速に対応をしてもらえるでしょう。 事前に伝える以外の対応として、別の検査を行うことも考慮すると良いでしょう。

痛みのない乳がん検診としては乳腺エコー検査と無痛MRI乳がん検診が選択肢になります。 前述した通り、乳腺エコー検査は検出率が低いため、無痛MRI乳がん検診が理想的です。

12.痛みに弱い人は「無痛MRI乳がん検診(ドュイブス・サーチ)」がオススメ

無痛乳がん検診②

12-1.検査中の痛みがない

痛みが苦手な方の乳がん検診といえば、乳腺エコー検査とされてきましたが、近年では乳がんへの高い検出率を誇る無痛MRI乳がん検診(ドュイブス・サーチ)が新たな選択肢として注目されつつあります。

無痛MRI乳がん検診はマンモグラフィ検査のように圧迫版で乳房を挟む必要がないため、痛みはありません。また乳房に対する手術を受けた方でも傷口や人工物(シリコンなど)を気にせず、撮影を受診することができます。

撮影自体は寝台に腹ばいで寝た状態で行い、乳房は寝台にある機械の穴の中に入れます。 これにより、乳房全体を撮影することができます。

無痛MRI乳がん検診は磁気を利用して撮影する検査のため、マンモグラフィ検査と異なり、衣服が撮影の邪魔にならず、検査着のままでも撮影が可能です。 このため、乳房を見せる必要なくプライバシーが保たれた状態で撮影が可能です。

12-2.被ばくがない

無痛MRI乳がん検診はMRI検査の一種で、強力な磁場の中で磁石と電磁波を利用し、さまざまな断面を撮影します。

無痛MRI乳がん検診はMRIのさまざまな撮影技術の中で、「DWIBS(ドゥイブス)」と呼ばれるがんや腫瘍を検出することに優れた技術を利用しています。これにより、乳がんを簡便に検出することが可能になります。

無痛MRI乳がん検診はMRIの一種であるため、放射線は使用せず、被ばくはありません。 定期的に受診する必要がある乳がん検診において、被ばくがなく、何回受けても体への悪影響がないことは大きなメリットです。

ただし、妊娠中のMRI検査については安全性への配慮から、まずは主治医に相談しましょう。

12-3.乳腺濃度の影響を受けづらい

無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)は乳腺濃度の影響を受けないため、高濃度乳腺(デンスブレスト)の方にも適した検査です。

無痛MRI乳がん検診では乳房の基本組織である乳腺と脂肪はどちらも白く映り、乳がんは黒く映ります。

このため乳腺濃度の高低に関わらず、乳がんと乳房で白黒のコントラストがつきやすく、高濃度乳腺でも乳がんを見つけられます。マンモグラフィ検査が苦手としている部分もカバーできている検査です。

12-4.検出範囲が広く、診断性度が高い

無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)は、従来の検診(マンモグラフィ単独など)では見つけにくかったがんの発見にも役立つという報告があります。 特に日本人に多い高濃度乳腺(デンスブレスト)の方におけるがん発見率は、マンモグラフィよりも高くなる傾向があるとされています。

2023年2月のデータによれば、既に約17,000人がこの検査を受け、その中で1,000人に対し約20人の割合でがんが検出されているという結果が示されています。

この理由として、無痛MRI乳がん検診では有効感度範囲が広く、マンモグラフィ検査や乳腺エコー検査が苦手とする乳房奥側にある胸壁や脇の下を死角なく高精度で検査することが可能な点が挙げられます。

このように、無痛MRI乳がん検診は痛みのない上に、マンモグラフィ検査以上に乳がんを見つけられる可能性があります。 最近では無痛MRI乳がん検診を行なっている施設が増えてきており、日本全国で受診できるようになりつつあります。

13.まとめ

マンモグラフィ検査の痛みに関する知識とマンモグラフィ検査に代わる乳がん検診を中心に解説させていただきました。

残念ながら、乳房の圧迫が重要であるマンモグラフィ検査において、痛みを完全になくすことはできません。痛みを避けたい場合には、痛みのない乳がん検診を受診しましょう。

痛みのない検査として、無痛MRI乳がん検診と乳腺エコー検査が挙げられます。

乳腺エコー検査は「しこり」の発見には優れていますが、初期の「微細な石灰化」の発見などは苦手としており、全てのタイプのがんを網羅できるわけではありません。 また、検査を担当する放射線技師の技量によっても診断能が変わってくるという性質もあるといわれています。

そのため、より広い範囲を詳しく調べたい、高濃度乳腺のリスクをカバーしたいと考えるならば、無痛MRI乳がん検診が有力な候補となるでしょう。

ただ、費用面は他の乳がん検診に比べると高額にはなるため、ランニングコストを考える方には不向きかもしれません。

ただ、もし乳がんになった場合、早期であれば完治が可能ですが、発見が遅れた場合には外科的手術や放射線治療、化学療法などを継続的に行っていく必要があります。

この際の継続的な治療費を考えると、無痛MRI乳がん検診の費用は結果的に高くないともいえるかもしれません。

乳がん検診自体は毎度同じものを受けなければならない訳ではありません。 痛みが苦手な方は乳腺エコー検査、無痛MRI乳がん検診どちらも一度受けてみるという方法も検討すると良いでしょう。

©︎乳がんラボ