乳房全体を立体的に評価しやすい理由
乳がん検診では、できるだけ早い段階で乳がんを見つけることが大切です。一方で、検査方法によって見つけやすい病変や、見えにくくなる条件は異なります。
マンモグラフィは、乳がん検診で広く用いられてきた標準的な検査です。特に石灰化の検出に優れています。ただし、乳腺が多い高濃度乳房では、乳腺も乳がんも白く写るため、病変が重なって見えにくくなることがあります。
無痛MRI乳がん検診では、MRIの拡散強調画像を用いて乳房を撮影します。乳腺の重なりの影響を受けにくく、乳房全体を立体的に評価しやすいことが特徴です。
本サービスおよび関連施設でのこれまでの経験では、無痛MRI乳がん検診で比較的高い乳がん発見率が得られています。ただし、検査を受ける方の年齢、乳房の状態、過去の検診歴、検診間隔などが異なるため、マンモグラフィの発見率と単純に直接比較することはできません。
無痛MRI乳がん検診で乳がんを見つけやすい理由
無痛MRI乳がん検診で乳がんを見つけやすい理由には、主に3つの特徴があります。
1つ目は、MRIが乳房全体を立体的に撮影できることです。乳房を一方向から投影する検査ではなく、乳房の内部を三次元的に評価できるため、胸壁に近い部分を含め、乳房全体の状態を確認しやすいという特徴があります。
2つ目は、拡散強調画像を用いることです。無痛MRI乳がん検診では、Diffusion-weighted Whole-body Imaging with Background body signal Suppression、すなわち DWIBS法を応用しています。DWIBS法は、拡散強調画像を用いたMRI撮影法の一つです。乳がんの中には、拡散強調画像で周囲の正常組織と異なる信号として見えやすいものがあります。この性質を利用して、造影剤を使わずに乳がんを見つけることを目指します。
3つ目は、高濃度乳房でも乳腺の重なりの影響を受けにくいことです。マンモグラフィでは、乳腺も乳がんも白く写るため、高濃度乳房では病変が見えにくくなることがあります。MRIはX線とは異なる原理で画像を作るため、乳腺の濃さによる見えにくさを受けにくい場合があります。
これらの特徴により、無痛MRI乳がん検診では、従来の検診で見つけにくい場合がある乳がんを検出できる可能性があります。
がん発見率はどのくらいですか?
本サービスおよび関連施設でのこれまでの経験では、無痛MRI乳がん検診における乳がん発見率は、1000人あたりおよそ15人前後です。
直接比較はできませんが、本サービスおよび関連施設でのこれまでの経験では、比較的高い乳がん発見率が得られています。
この数値は、一般的なマンモグラフィ検診の報告と比べると高い水準です。ただし、検査を受けた方の年齢、乳房の状態、過去の検診歴、検診を受ける間隔、症状の有無などが異なるため、単純に「マンモグラフィの何倍」と直接比較することはできません。
高濃度乳房でも見つけやすい場合があります
高濃度乳房とは、乳房の中に乳腺が多く、マンモグラフィで白く写る範囲が多い状態を指します。
マンモグラフィでは、乳腺も乳がんも白く写ります。そのため、高濃度乳房では、白い乳腺の中に白い乳がんが重なり、病変が見えにくくなることがあります。
マンモグラフィ
無痛MRI乳がん検診
無痛MRI乳がん検診は、X線ではなくMRIで乳房を撮影します。MRIでは、乳房全体を立体的に評価でき、乳腺の重なりの影響を受けにくい場合があります。
そのため、高濃度乳房の方にとって、MRIによる乳がん検診は有用な選択肢となる可能性があります。
ただし、高濃度乳房だからといって、MRIだけで十分という意味ではありません。年齢、乳がんリスク、過去の検査結果に応じて、マンモグラフィや超音波検査と組み合わせて考えることが大切です。
乳房全体を立体的に評価しやすい検査です
マンモグラフィは、乳房を板で挟み、X線で撮影する検査です。乳房を薄く広げて撮影するため、石灰化を見つけることに優れています。
一方で、乳房の形、大きさ、胸壁に近い部分、乳腺の重なりなどによって、病変が見えにくくなることがあります。
無痛MRI乳がん検診では、乳房全体を三次元的に撮影します。乳房を一方向から見るだけでなく、立体的に評価できるため、乳房全体の状態を確認しやすいことが特徴です。マンモグラフィのように乳房を挟んだ範囲だけを投影する検査ではないため、胸壁に近い部分を含め、乳房全体を立体的に評価しやすいことが特徴です。
ただし、MRIでも評価が難しい場合はあります。体動、脂肪抑制不良、背景乳腺信号、アーチファクト、撮像条件、読影上の限界などにより、すべての乳がんを必ず見つけられるわけではありません。
マンモグラフィや超音波検査との違い
マンモグラフィの場合
マンモグラフィは、乳房を板で挟み、X線で撮影する検査です。乳がん検診として広く用いられており、特に石灰化の検出に優れています。
一方で、高濃度乳房では乳腺と乳がんがどちらも白く写るため、病変が見えにくくなることがあります。また、乳房を圧迫するため、痛みを感じる場合もあります。
超音波検査の場合
超音波検査は、乳房にゼリーを塗り、プローブという機器を当てて行う検査です。被ばくがなく、しこりの性状を詳しく見るのに役立ちます。
一方で、検査を行う人の技術や経験に影響を受けやすい面があります。また、乳房全体を客観的に記録し、後から同じ条件で見直すという点では、MRIのほうが有利な場合があります。
無痛MRI乳がん検診の場合
無痛MRI乳がん検診では、乳房を圧迫せず、X線被ばくもなく、造影剤も使わずに撮影します。
乳房全体を立体的に評価しやすく、高濃度乳房でも病変を見つけやすい場合があります。一方で、微細石灰化そのものの評価はマンモグラフィが得意です。
そのため、無痛MRI乳がん検診はマンモグラフィや超音波検査を否定するものではありません。それぞれの検査には得意分野があり、受診者の年齢、乳房の状態、リスク、過去の検査結果に応じて適切に考えてみることも大切です。
発見率が高く見える背景にも注意が必要です
無痛MRI乳がん検診では、比較的高い乳がん発見率が得られています。
ただし、その数値には、検査方法そのものの特徴だけでなく、受診者の背景も影響している可能性があります。
たとえば、無痛MRI乳がん検診を受ける方の中には、これまでマンモグラフィの痛み、胸を見られることへの抵抗感、被ばくへの不安などから、乳がん検診を受けてこなかった方も含まれます。
初めて、または久しぶりに乳がん検診を受ける方では、それまで見つかっていなかった乳がんが発見されることがあります。このような背景も、発見率に影響している可能性があります。
そのため、発見率の数字を見るときは、単に検査方法だけを比較するのではなく、どのような方が、どの間隔で、どの検査を受けたのかを考える必要があります。
MRIだけで十分という意味ではありません
無痛MRI乳がん検診は、乳房全体を立体的に評価しやすく、高濃度乳房でも乳がんを見つけやすい場合があります。
一方で、MRIだけですべての乳がんを見つけられるわけではありません。
マンモグラフィは、微細石灰化の評価に優れています。超音波検査は、しこりの内部性状や、触れるしこりの評価に役立ちます。MRIは、乳房全体の立体的な評価や、乳腺の重なりがある場合の評価に有用な場合があります。
それぞれの検査には役割があります。無痛MRI乳がん検診で異常が疑われた場合には、乳腺外科での診察、マンモグラフィ、超音波検査、必要に応じた生検などにつなげることが大切です。
また、しこり、血性乳頭分泌、皮膚のひきつれ、乳頭のただれなど、明らかな症状がある場合は、検診ではなく乳腺外科での診療を受けることが基本です。
まとめ
無痛MRI乳がん検診では、MRIの拡散強調画像を用いて乳房を撮影します。
乳房全体を立体的に評価しやすく、乳腺の重なりの影響を受けにくい場合があるため、高濃度乳房の方でも乳がんを見つけやすい可能性があります。
本サービスおよび関連施設でのこれまでの経験では、比較的高い乳がん発見率が得られています。ただし、対象となる受診者の背景が異なるため、マンモグラフィなど他の検査と単純に直接比較することはできません。
無痛MRI乳がん検診は、マンモグラフィや超音波検査を否定するものではありません。それぞれの検査には得意分野と限界があり、年齢、乳房の状態、乳がんリスク、症状の有無に応じて、適切な検査につなげることが大切です。
